不登校特例校の集い中止について
◉どうして「集い」は中止されたのか 経緯
不登校特例校の集い開催発表がツイッターで行われた
2023年1月10日 文部科学省ツイッターアカウントから不登校特例校「全国の集い」開催が広報された。この集いは、文部科学省と不登校特例校全国連絡協議会(発足予定)が共催で、不登校特例校が例年持ち回りで事務局を務める。集いでは、各校が成果や取り組み、特色ある柔軟な取り組みなどを発表する予定だった。2022年度の集会(2023年2月5日に予定されていた)は、東京シューレ学園が準備会事務局だった。
#不登校 児童生徒の実態に配慮した教育課程を編成している #不登校特例校 ではどのような #教育 が行なわれているのか、運営者に発表いただきます。
日時:2月5日(日) 13:00~16:30
場所:文科省 ※オンライン視聴併用
申込👉forms.gle/AfM5gkjFLJ7wha…
文部科学省公式アカウントのツイートからすぐに性暴力被害者たちを中心に、「文部科学省が東京シューレ学園を権威化するのは、性暴力二次加害にあたるのではないか」というリプライが集まった。同時に、東京シューレ学園と関連あるNPO法人東京シューレ利用時に職員から重篤な性加害に遭った女性からも、「東京シューレ学園の参加を取りやめるか集いの中止、協議会から東京シューレ学園を外すこと」を求めるコメントが寄せられた。民事裁判において、NPO法人東京シューレの宿泊施設(当時不登校新聞長野支局でもあった)で、不登校新聞子ども記者であった少女(当時)への性暴力については認定されている。
◉NPO法人東京シューレ、不登校新聞性暴力問題に関係する事柄の年表
1985年 奥地圭子氏が東京都北区でフリースクール東京シューレを開設
1998年 長野県で宿泊型フリースクール「ログハウスシューレ」事業開始
1999年 東京シューレ、NPO法人として東京都より認証。奥地氏が理事長に。
(翌年1月よりNPO法人として組織再編)
2000年 3月 ログハウスにおいて、成人の男性スタッフから、10代の在籍者に対する頻繁な性暴力が約1年間続く
2001年 ログハウスシューレ閉鎖
2006年 東京都知事による認可を受け、「学校法人東京シューレ学園」設立
2013年 被害女性が、性被害を原因とするPTSDと診断される
2016年 被害女性がスタッフとシューレを相手取り、損害賠償を求めて提訴
2019年 7月 和解 シューレ、和解条項に基づく「子ども等の人権の保護に関する委員会(以下人権委員会)」を設置(委員長:大谷恭子弁護士)
2019年 11/23 シューレも加盟している、フリースクールの国内最大組織・NPO法人「フリースクール全国ネットワーク」(フリネット)がFS に通う子どもの性被害専用の電話相談窓口設置を決める 「ちなみに、朝日新聞で大きく報道されたこの窓口は、現在まで稼働している様子はない」
2020年 2/10 シューレ、「東京シューレにおける性被害について、及び、子ども等の人権、安心・安全を守るための取り組み」発表
2020年 9/12 フリネットの代表理事を奥地氏が辞任
2020年 11 月 フリネット、「子どもの人権擁護に関する調査検証委員会」(以下調査検証委員会)を設置
2020年度シューレ理事会・総会 人権委員会に「調査検証部会」を設置。その後元原告からの要望で、外部委員のみで構成される「第三者調査検証委員会」に改組。
2021年 5 月 フリネット調査検証委員会中間報告。「フリネット内部においても被害者支援よりも東京シューレの組織防衛を優先した対応が行われ、結果、事件対応の遅れを招いた」
2021年 6/10 シューレ理事会に、人権委員会調査検証報告書・第三者調査検証委員会回答書が提出される。救済対応を十分に行わなかったこと、被害者が納得する「真の和解」に至っていないこと、シューレが求めた「口外禁止」によって元原告に苦痛を 与え、組織内の説明と社会的説明を妨げたこと等の指摘を受ける。
2021年 6/12 奥地圭子氏がNPO法人東京シューレの理事長と理事を退任
(学校法人東京シューレ学園の学園長は継続)
2021年 7/10 シューレ、性暴力加害事件について理事会声明を発表。(事前に元原告との意思疎通や同意を得るプロセスを怠り、新たな二次加害を与えたとして、現在はホームページから削除) https://shure.or.jp/about/pickup.html (※3,4)に記事につきましては、東京シューレの姿勢を示すことを重視するあまりに、記事の内容について、事前に被害当事者の方との意思疎通や同意を得るプロセスを怠り、新たな二次加害を与えてし まったことから、今回のリニューアルホームページには削除させていただいております。
https://shure.or.jp/about/pickup.html
2021年 7/26 「多様な学び保障法を実現する会」(旧「(仮称)オルタナティブ教育法を実現する会」)の共同代表を奥地氏が退任 https://aejapan.org/wp/officialinfo/info20210801/
2021年 7~8 月シューレ、第三者調査検証委員会を新たに組織し調査検証を継続することを決定
2021年 10月 シューレ、代表理事のもとに事件対応チームを設置。第二次調査検証は 2022年度の予定とする。 東京シューレ学園より、元原告との対応および再発防止の合同での取組から「離脱」する方針が示される。NPO法人東京シューレからは共同して対応すべき事案であると調整中。
2022年 6 月 フリネット調査検証委員会が解散
2022年 7/23 「多様な学び保障法を実現する会」の総会で解散が議決。奥地氏は「私は、NPO法東京シューレの権委員会報告書を 認めていないし、NPO法東京シューレを退いた経緯も納得できないが、責任は感じている」と発言(議事録より)。
2022年 12/23 雨宮処凛著『学校、行かなきゃいけないの? これからの不登校ガイド』(河出書房新社、2021)が出庫停止に。「事件について詳しく知らないままに東京シューレの活動を取り上げたことは配慮が足りなかったと深く反省しております。なぜなら、 裁判が和解しようとどうしようと、性暴力被害は終わらないからです」と著者。
◉被害者に対して納得いく説明と性暴力再発防止策が示されていない
裁判では、和解したが、和解条項をNPO法人東京シューレが守っておらず、原告(被害者女性)が求めた性暴力が二度と起きないための仕組みが未だ示されていないことが問題となっており、原告と被告との間で話し合いが続いている。話し合い途中にかかわらず、被告側が原告に無断で情報を開示したり、原告が納得していないガイドラインを発表するなど、不誠実な対応が続いている。NPO法人東京シューレで起きた性暴力問題は、裁判になった意外にも複数の加害者と被害者かいると出身者らが証言している。性暴力被害者とその支援者は、未だに問題は解決していないとして、東京シューレ学園、不登校新聞関係者をメディアで取りあげたり、社会的に良い行いをしていると権威化することは、性暴力二次加害であるとして声を上げている。
◉性暴力被害者有志による二次加害への抗議行動の一部
2019年10月・11月・12月フラワーデモ東京でスピーチ
2020年と2021年 NHK8月31日の夜に(番組) 不登校新聞編集長起用への抗議のちに再編集
2021年ベネッセネットコラムへの抗議
2022年ヴォーグ日本版記事掲載への抗議
2020年から2023年 雨宮処凛氏著書への抗議 のち謝罪と出荷停止
2023年 12月から1月 地方フリースクールイベントの広報への抗議
2023年 1月10日から 不登校特例校の集い開催について 文部科学省への抗議
◉抗議の声に対する文部科学省の反応
文部科学省の広報は1月10日で不登校特例校の集いは、2月5日と、スケジュールが近く、交渉する時間が限られる中、原告は、性暴力被害、二次加害の影響による複雑性PTSDで、文字を読んだり、書いたりすることが難しくなっていた。文書として、請願をすれば、省庁などの役所は、公的な回答をするのが通例ではあるが、原告は、議員に協力を求め、請願書を作成することに、二次加害の影響で、大きなハードルがあった。原告に賛同した性暴力被害者や協力者が文部科学省に電話や公式ホームページから問い合わせを行なった。1月17日、性暴力被害者の有志が原告の要望をそのまま盛り込んだ請願書を作成し、文部科学省児童生徒課に交渉を開始した。原告も1月18日、20日、23日、24日と電話で交渉を重ねた。
◉性暴力被害者有志の請願書
原告の要望をそのまま盛り込んでいる
Ⅰ 請願の趣旨
複数の職員が複数の子どもに性暴力を行なった東京シューレ不登校新聞性暴力問題は、まだ解決していません。東京シューレ学園が不登校特例校全国連絡協議会事務局となる予定であることがツイッターで発表され、直接の性暴力被害者たちだけでなく、多くの性暴力被害者たちが気重篤な希死念慮とPTSD、フラッシュバックで苦しんでいます。「不登校特例校の集い」の開催および不登校特例校全国連絡協議会事務局の決定経緯を明らかにし、性暴力二次加害をやめてください。2023年2月5日の「不登校特例校の集い」の開催の経緯を明らかにし、東京シューレ不登校新聞性暴力問題を加害者側からの報告だけを信じずに丁寧な調査をしてください。不登校特例校全国連絡協議会事務局を東京シューレ学園に設置するのをやめてください。
Ⅱ 請願項目
1)東京シューレ・不登校新聞性暴力事件について、加害団体側だけの言い分を信用するのではなく、公正中立な実態調査をお願いします。
2)不登校特例校「全国の集い」から学校法人東京シューレ学園を外すか、それができないのであれば、中止して下さい。
3)不登校特例校全国連絡協議会(発足予定)から学校法人東京シューレを外して下さい。
Ⅲ 請願の理由
不登校特例校全国連絡協議会が発足準備中で東京シューレ学園内に準備会事務局があり、文部科学省講堂で全国の集いを2023年2月5日に開催予定とのことですが、東京シューレは過去に起こした性暴力事件に現在まで向き合っておらず、事件も被害も終わっていません。文部科学省が性暴力加害団体にお墨付きを与えるのは、性暴力被害を矮小化する性暴力二次加害です。まったく子どもへの性暴力に向きあわず、長期にわたり加害の隠蔽を続ける団体に権威を与えないでください。加害責任を認めないままの東京シューレ学園が事業を継続していること自体、常軌を逸しています。文部科学省、東京シューレ、不登校新聞で起きた性暴力問題について、事実を丁寧に調べてください。裁判の和解では何も終わっておらず、複数の被害者が苦しみ続けています。文部科学省は、今この瞬間も被害者の心身を蝕み続けている性暴力の加害者に加担する行為をやめてください。このままでは、本当に命が危ない被害者がいます。被害者たちを救済するどころか見殺しにし、加害に加担することは絶対にやめてください。子どもへの性暴力の心身の後遺症について、調査研究し、今回のような唐突な二次加害をしないでください。生命の安全教育の観点からも、複数の加害者が複数の子どもへの性暴力問題を起こし、いまだ解決していない東京シューレを不登校事業の根幹に位置付けることは、大変に危険です。
◉請願書に記載された参考資料
朝日新聞記事
支援者ブログ
「東京シューレにおける性被害事件について/ひとつの証言として」
山下耕平さんのブログ(N PO法人フォロ副代表理事、関西学院大学非常勤講師など)
臨床心理士、信田さよ子さんは「正義」を掲げるからこその危険性を指摘しています。
支援団体で性暴力が次々に起こるのはなぜなのか…「正義の組織」にこそ潜む危険性
以上
◉不登校特例校の集い中止の方向が示された
直接の被害者、多くの性暴力被害者、原告に賛同する人たちによる文部科学省への働きかけにより、1月23日に不登校特例校の集い中止の可能性が提示されたことにより、原告や性暴力被害者らは、中止の理由を明確に告知することを求めた。原告が求めた「調査」は、文科省としては権限がないとして、退けられる可能性が強まったために、被害者有志は、急所、請願内容に性暴力と二次加害の防止策の明示などを要求した。
◉請願 追加事項
不登校特例校における性暴力・隠蔽・二次加害防止対策について明らかにして下さい。「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が不登校特例校の講師等に適用されるのかをご説明下さい。フリースクール事業者がそのまま不登校特例校として認可されていること、かつての従事者が不登校特例校に教員免許をもたないまま講師として採用される可能性が大きく、これまでのフリースクールにおける性暴力問題と性暴力が起きる背景と構造がまったく改善されていないまま、同じ感覚の人たちが特例校で児童生徒にかかわり、再び性暴力とその隠蔽体質が続く懸念があります。 以上
◉文部科学省が不登校特例校の集い中止を正式に発表
ご案内しておりました不登校特例校「全国の集い」は、準備をしていく中で様々な御意見をいただいたことから、開催が困難な状況が生じたため中止とさせていただきます。
参加を予定していた皆様におかれましては御迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
原告や性暴力被害者有志、支援者らが求めた中止理由の明示はなかった。
その理由を文部科学省は、省として個別の名称を挙げることに懸念があったと回答。
◉文部科学省からの請願への回答
1月25日、不登校特例校の集い中止の発表を受けて、性暴力被害者有志は、文科省児童生徒課の担当職員から請願の回答を得た。
請願項目1)東京シューレ・不登校新聞性暴力事件について、加害団体側だけの言い分を信用するのではなく、公正中立な実態調査をお願いします。
回答:NPO法人東京シューレと学校法人東京シューレ学園は、別の団体であり、NPOに対して文部科学省は調査の権限を持たない。学校法人認可や不登校特例校認可について、過去の性暴力問題をチェックする規定はない。
請願項目2)不登校特例校「全国の集い」から学校法人東京シューレ学園を外すか、それができないのであれば、中止して下さい。
回答:準備をしていく中で様々な御意見をいただいたことから、開催が困難な状況が生じたため中止とさせていただきます。
請願項目3)不登校特例校全国連絡協議会(発足予定)から学校法人東京シューレを外して下さい。
回答:不登校特例校全国連絡協議会は、文部科学省とは無関係の民間任意団体であるために、そこに指導する権限は文部科学省にはない。
請願追加項目 不登校特例校における性暴力・隠蔽・二次加害防止対策について明らかにして下さい。「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が不登校特例校の講師等に適用されるのかをご説明下さい。
回答:「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」や子ども家庭庁で検討中の日本版DBSで、児童生徒への性暴力を防いでいく。学校性暴力が起きないための教員研修を要請していく。
そのほか、意見として担当者から
裁判で法的和解したことで問題がないと考えていたが、今回は、特段のご事情があるということがわかり、集い中止を決断するに至った。多くのご意見をいただき、初めて知る内容もあった。今後は再発防止に努めるが、かつて起きた性暴力事案についての調査は行う予定はない。
2023年1月25日 性暴力被害者有志による文部科学省への請願
◉報道
文部科学省は25日、通常の学校とは異なる柔軟なカリキュラムを組める「不登校特例校」の関係者が集まり、シンポジウムなどを行う「全国の集い」を中止すると発表した。2月5日に予定していたが、文科省は「様々な意見をいただき、開催が困難な状況が生じたため」としている。「東京シューレ学園」が、イベントの問い合わせ先としてチラシに掲載されていた。同学園の母体となった団体で過去に男性スタッフによる利用者への性暴力事件があったことから、市民団体が「文科省がお墨付きを与えることになる」として抗議していた。
この20年あまり、性暴力事件などなかったかのように、当該加害団体の社会的活動は続いてきました。たくさんの子どもたちが生き方を見つけられたことの評価と同時に、職員による子どもへの性加害が長期にわたり生じていたこと、組織がそれを隠し続けたことも忘れてはなりません
文科省はイベント中止の理由をSNSに「様々な意見により開催が困難な状況が生じた」とだけ掲示しました。曖昧な書き振りです。実際には電話やメールでの意見に加え、被害者からの請願の回答として最終判断があったと理解してよいでしょう。政府や公的機関による当該加害団体グループへの無批判な体制が続くなか、国が今回、被害者本人の声を聞いた上で、流れを一旦止めたことは評価できます。
被害者も、教育現場や不登校支援に資する重要な意見を持つ立派な当事者です。不登校の子どもや家族を支える仕組みづくりが、被害者を置き去りにしない形で模索されることが大事です。
不登校特例校の「集い」中止文部科学省は25日、各地の「不登校特例校」が活動を発表する「全国の集い」(2月5日)を中止すると発表した。主催団体に学校法人「東京シューレ学園」(奥地圭子学園長)が関わっていることに抗議の声が寄せられたという。奥地氏が設立したフリースクール「東京シューレ」では活動に参加した女性が男性スタッフから性暴力を受けたことが明らかになっていた。集いでは、不登校の子ども向けに特別なカリキュラムを組む特例校が活動を紹介する予定だった。主催者は特例校の全国連絡協議会(開催当日に設立予定)と文科省。学園は協議会の準備事務局として集いに関わっている。
東京新聞2023年1月26日夕刊 引用
不登校特例校の集い中止 参加団体施設で性暴力 被害女性が抗議
不登校児童生徒に配慮した教育課程を編成できる「不登校特例校」が現状や課題を発表する「全国の集い」が中止されたことが分かった。二月五日に予定されていたが、参加団体に問題があるとして文部科学省に抗議が寄せられていた。文科省が二十五日に中止すると発表。同省は「さまざまなご意見をいただいたことから、開催が困難な状況が生じた」としている。
集いでは、全国に二十一ある特例校の関係者が集まり、シンポジウムなどを行う予定だった。抗議したのは、不登校の子どもが通うフリースクール「東京シューレ」の関連施設で性暴力被害を受けた三十代女性を支援する「性暴力支援者の会」。文科省は、集いを機に特例校の全国連絡協議会を設立し、シューレを母体とする学校法人「東京シューレ学園」に事務局を設置する予定だった。女性は、十代だった二〇〇〇年、長野県にあったシューレの宿泊型施設で男性スタッフから性暴力を受け、心的外傷ストレス障害(PTSD)を発症。一六年、シューレなどに損害賠償を求め提訴し、一九年に和解が成立した。集いを知った被害女性は「性暴力加害団体に文科省がお墨付きを与えるのは、二次加害になる」と懸念。被害者の会が二十五日、同学園を参加させないことなどを求める請願書を文科省に提出した。シューレは訴訟和解後、公式ホームページで公開している文章で、事件を「心より深くお詫び」し、二次加害の解消と防止、再発防止策を「主体的に実践していく決意です」などと表明している。(榎本哲也)
しんぶん赤旗2023年2月3日
不登校特例校の「全国の集い」中止 文科省発表 性暴力被害者が請願
性暴力被害者の会は、1月25日、文部科学省に同省が今月5日に共催予定だった不登校特例校の「全国の集い」に学校法人「東京シューレ学園」(奥地圭子学園長)がかかわらないよう請願しました。文科省は同日、集いの中止を発表しました。奥地氏が設立したフリースクール東京シューレでは、活動に参加した子どもが職員から性暴力を受けたことが明らかになっています。被害女性は2016年に提訴し、19年に和解しました。東京シューレ学園の母体であるフリースクール東京シューレ理事長は「被害当事者との意思疎通を大切にしながら」、二次加害の解消と防止、調査検証、再発防止を実践するとホームページで言明しています。同会は、東京シューレ学園が元原告との再発防止の取り組みから離脱する方針を示したことに「事件も被害も終わっていない」「文科省が性暴力加害団体にお墨付きを与える」と主張。東京シューレ学園は集いの問い合わせ先としてチラシに記載されていました。文科省は「準備をしていく中でさまざまなご意見をいただいたことから、開催が困難な状況が生じたため」と中止の理由を説明しています。
◉請願の回答を受けた性暴力被害者有志の声明
東京シューレ不登校新聞子どもへの性暴力問題は、まだ解決していません。今回の集いが中止になりこの問題や性暴力二次加害について、日本社会として、真剣に考えてください。文部科学省の行為は性暴力二次加害加害であるだけでなく、教育機関、教育行政として、性暴力問題について、調べておかねばならなかったのに怠った問題が大きく、今回を教訓に、今後、性暴力や二次加害が起きないようにするのかを省として示す必要があります。今回は多くの良識ある方々の意見や東京シューレ不登校新聞性暴力被害者でる原告ご自身が文部科学省に交渉されたことで、文部科学省がことの重大さに気付き、踏みとどまったのは、評価できます。予算もついて日程も直前に迫ったイベントで、通常は、動き出したら止められないものと諦めがちですが、原告本人のいのちを削った文部科学省との対話により「山が動いた」のです。
しかし、今回の背景は、フリースクール団体の問題だけでなく、学校を危険な場所のままにしている教育行政の問題が大きいのです。以下の通り、舩田クラーセンさやかさんも指摘しています。
1)多くの子どもが公的教育から逃げ出さざるを得ない公教育のあり方の問題を、今でも抜本的に改善しようとしていない。2)長年に亘り公的学校には戻らない不登校の子どもの存在を放置してきた(国内法だけでなく国際法違反)、3)故に民間にやりたいようにさせてきた現実があります。
今回の集い中止問題は、個別案件扱いせず、複数の性暴力と隠蔽があった同じ組織の学校に、調査をせずに不登校行政の中核の役割を果たさせた責任が文部科学省にあります。尚更今回を機に調査する責任があります。
文部科学省は、今回の中止から今後に向けて子どもを本気で守るための取り組みが必要です。1)全国的フリースクールの過去の虐待・性加害があったか、その後どのような対応をしたのかを一斉調査。シューレ創設年から現在までの数量と具体的内容を把握。被害者側とのコンタクト状況なども説明させる。
2)同意する被害者への聞き取りと改善要求を文科省として行う。
3)文科省として今後の加害が行われないよう(二次加害含む)、各フリースクール、不登校特例校に行動指針と計画を策定を要請。
これくらいの意識改革と実際の取り組みがないと、子どもを安心して任せられません。
請願のやり取りの中で、文部科学省担当者は、今回、数多くの意見が届いたことで、新たに知った事実もあったと話していました。特例校認定には、性暴力加害に関するチェックがありませんでした。性暴力と二次加害を放置してきた構造、学校が危険な場所のままの教育行政を変えるために行動を続けます。
ジャーナリスト 郡司真子
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